歯周組織の健康を配慮したCr&Brの技工指示書

歯周環境の変化に応じたクラウン

クラウンの支台歯形成の基本はエナメル質にマージンを設定することである。しか し、実際の臨床では歯肉縁下カリエス、歯根破折、そして歯周病による歯根露出によ りセメント質にマージンを設定しなければならないケースも多い。

セメント質はエナメル質よりも軟らかく清掃も難しい。だから、クラウン装着後の辺 縁カリエスは後を絶たない。

したがって、セメント質にマージンを設定する限りは、その辺縁部の歯肉が炎症を起 こしたり、退縮したりしないよう、歯周環境に合わせたクラウン辺縁部に特殊な形態 を付与する必要がある。また、支台周囲の環境が大変清掃しにくい場合もあり、それ に応じてクラウンの歯冠豊隆を変え、歯周病から守ることも大切である。

忙殺的仕事量に追われる歯科技工士側に、印象模型からセメントマージンかどうかや、 歯周組織の健康状態等を読み取ることを強いるのはあまりに酷であろう。私たち歯科 医師は、より楽に優れた補綴物を製作できるよう、できるだけ具体的でわかりやすい 指示書を書かなければならない。

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歯周環境の変化に応じたブリッジ

ブリッジのポンティック基底面の形態は、衛生型、船底型、リッジドラップ型、鞍 状型、オベード型に分けられる。過去の文献では支台歯の清掃性を考えた衛生型ポン ティックを選択する報告が多く見られたが、近年になって、経年的観察から衛生型ポ ンティック下の角化歯肉が著しく失われることが明らかになってきた。これは顎堤が どんどんやせ細り、将来欠損がさらに拡大した場合のパーシャルデンチャーやインプ ラント補綴を難しくすることを示している(図1)。したがって、衛生型ポンティックを選択 する場合は、ポンティック基底部に全く顎堤粘膜(付着歯肉)のないケースに限られ る。 このように、現在では支台歯の高い清掃性は当然のこととして、ポンティック基底面 を歯肉に接触させ、欠損部の顎堤骨を吸収させないようにすることをブリッジ形態の 基本とした考え方が一般的となっている。さらに、ブリッジ後方支台歯の歯頚部2次 カリエスの多くは顎堤吸収に伴うポンティック下の付着歯肉量の減少と歯槽粘膜の動き や口腔前庭の狭小に深く関与しているので、この点を考慮した技工指示書を書き、清 掃しやすい形態をブリッジに与えなければならない。

渋谷区神南の歯医者石上歯科歯周環境の変化に応じたブリッジ

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口腔前庭が狭小している場合はクラウンの歯冠豊隆(カントゥアー)を弱くしよう!

文章による技工指示書:口腔前庭が浅いケースなので、カントゥアーを弱めにして歯頸部の清掃ができるだけしやすい形態にしてください。


口腔前庭が浅く狭い場合、通常カントゥアーのクラウンを装着すると歯頸部付近のブラッ シングが難しくなり、二次カリエスや歯周病に侵されやすい。歯冠豊隆(カントゥアー) を弱くすることで、ブラシの毛先が歯頸部に到達しやすくなる。支台模型のトリミン グ後では、口腔前庭と清掃の関係は分からなくなるので技工指示書に必ず文章で記載 する必要がある。

症例:口腔前庭が著しく浅い場合,歯周組織の健康を阻害しないクラウン作成の例

渋谷区神南の歯医者石上歯科口腔前庭が狭小している場合

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歯肉退縮を避けたい場合は,歯肉縁下形態にレスカントゥアーを与えよう!

歯肉が薄いクラウンの指示書例

渋谷区神南の歯医者石上歯科指示書例1

歯肉縁下にクラウンマージンを設定する場合、歯肉縁下に入る部分にレスカントゥアーを与えると歯肉が退縮しにくくなる理由は2つある。1つ目の理由は、遊離歯肉が厚みを保って存在できるため歯肉が退縮しにくくなること、2つ目の理由は、歯肉縁下の技工士によるワックスアップがオーバーカントゥアーになりがちであること、つまり人為的ミスを避けるために意図的なレスカントゥアーを与える、の2つである。一般的には、歯肉が薄い前歯部や臼歯部に応用すると、歯肉が退縮を起こしにくい。 これらの意味や具体的な形態を技工指示書に図として描くとわかりやすい。



渋谷区神南の歯医者石上歯科指示書例2












(症例1) 臼歯部の臨床例

渋谷区神南の歯医者石上歯科臼歯部の臨床例

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隣在歯より歯頚線が低位で付着歯肉が失われている下顎クラウンの指示書例

「メタルコア作製にあたり,模型上には頬粘膜の情報は十分に現れないので,簡単な図にてコアの立ち上がりの形態を伝える.」

渋谷区神南の歯医者石上歯科指示書例3

下顎臼歯部頬側の歯肉縁下カリエス、斜破折、あるいは細い顎堤に自家歯牙移植をおこなった場合、術後に歯頸線が隣在歯よりも低位になる場合が多い。付着歯肉が全く存在しないか,あってもごく僅かな場合が多く、補綴歯の歯周組織が可動するので、その予後は不安定である。このようなケースでは、意図的に角化歯肉を育成させる方法を利用する。歯肉縁下の歯根植立方向に合わせ、本当の歯根形状よりもやや凹にする。そこに適正なブラッシング圧を加えると、歯肉はくぼませた分の厚みを確保しながら上方に増殖し角化する。この増殖した角化歯肉は、歯槽骨と線維で結ばれた付着歯肉ではない。しかし、表面が硬く不動性の歯肉なので、メインテナンスし易い. 


(症例)歯肉縁下カリエスのため歯頚線が隣在歯より低位で付着歯肉もない.

渋谷区神南の歯医者石上歯科歯肉縁下カリエスのため歯頚線が隣在歯より低位で付着歯肉もない

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自然な歯根形態を付与しよう!

渋谷区神南の歯医者石上歯科指示書例4

上顎臼歯部の口蓋側における歯根斜破折や歯肉縁下カリエスが歯肉縁下に及ぶ場合は,解剖学的歯根形態を意識的に与えることで補綴物に接する歯肉を健康に保つことができる.歯科技工士が、歯根形態をワックス形成する訓練の場は極めて少なく、無意識にオーバーあるいはアンダーの不自然な形態を作ってしまうことが多い。その結果、歯肉は恒常性(歯肉と歯根の自然な形態の調和)を乱され,炎症を起こす。また、その予後も悪い.  少し手間がかかるが、歯列模型を真似て歯冠および歯根形態をワックス形成し、コア を削りだし(カットバック)すると上手く行く。




(症例 1)歯肉縁下で根破折を起こした臨床例

(症例 2)図26

渋谷区神南の歯医者石上歯科歯肉縁下で根破折を起こした臨床例



















渋谷区神南の歯医者石上歯科歯肉縁下で根破折を起こした臨床例2









渋谷区神南の歯医者石上歯科歯肉縁下で根破折を起こした臨床例3

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ブリッジに関する問題:ポンティックの基底面は付着歯肉に接触させよう!

渋谷区神南の歯医者石上歯科指示書例5

ポンティック頬側基底面が顎堤粘膜部(付着歯肉部)を越えて歯槽粘膜まで覆うことは避けなければならない。ポンティックの頬側基底縁と頬の動きに連動して動く歯槽粘膜が擦れて潰瘍を起こすからである。模型上では顎堤粘膜と歯槽粘膜の識別は不可能なことから,歯科医師が模型に直接顎堤粘膜部(角化歯肉部)と歯槽粘膜の境界を印記し,ポンティック下の角化歯肉の範囲を歯科技工士に知らせる必要がある. この指示書のポイントは模型に歯科医師が面倒がらずにペンで印記することである。




渋谷区神南の歯医者石上歯科模型に直接明記













(症例)ポンティックの設計を間違ったケース

渋谷区神南の歯医者石上歯科ポンティックの設計を間違ったケース

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下顎臼歯部ブリッジのポンティック下に付着歯肉が少ない場合は、後方歯の清掃性を重視しよう!

ポンティック下に付着歯肉がわずかに、あるいはまったく存在しない場合は、口腔前庭の浅い症例が多い。清掃性を考慮して、船底型あるいは衛生型の基底面形態を与えざるを得ない。

歯科医師が支台歯形成をする際、ミラーで強く頬粘膜を排除しないと頬粘膜がバーに巻き込まれそうになるのは、口腔前庭が狭く浅いからである。このようなケースは、歯ブラシによる清掃も難しく、近い将来にブリッジ後方歯が歯頸部カリエスを必ず引き起こす。

ポンティック下に付着歯肉が少ないとそれに付随して多くの問題が起きることは、常に口腔に触れている歯科医師や歯科衛生士には容易に理解できるが、頬や舌のない石膏模型を扱う歯科技工士には理解されることが難しい。

したがって、ブリッジ後方支台歯には、できるだけ清掃性を考慮した、できるかぎりカントゥアー(歯冠豊隆)の少ないクラウン形態を与えるよう、具体的な技巧指示を出さなければならない。


症例:口腔前庭や歯槽粘膜の動きを考慮せず装着したブリッジの失敗例

ポンティック下に角化歯肉がわずかにしか存在せず、口腔前庭が浅い症例である。可動性の歯槽粘膜が後方支台歯歯頸部を覆っていることが清掃を困難にし、これが二次カリエスになることなどまったく考えていなかった。そのため、支台歯がカリエスになるたびにブリッジをやり直した。支台歯周囲の環境が清掃を難しくしていることに、あらためて気付かされた症例である。

渋谷区神南の歯医者石上歯科後方歯の清掃性を重視しよう

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引用文献

阿部二郎:下顎臼歯部ブリッジのポンティック形態が欠損部歯槽堤の経年的吸収量に 与える影響, 顎咬合誌, 18(4):514~521, 1997.

阿部二郎:欠損はいかに埋められるべきか,日本歯科評論Vol.62(8) 、129-136,  Vol.62(8) ,135-142,2002.

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