臼歯部における意図的可動粘膜の改善法
はじめに
Lang,Miyasatoらは,角化歯肉と付着歯肉の存在について,歯肉の健康を維持するためには必ずしも必要ではないと述べている.反対に,角化歯肉(付着歯肉を含む)の欠如はブラッシング時や咀嚼時に不快感を生じるばかりでなく,歯周治療後のメインテナンス時に歯頚部2次カリエスや歯周病の再発を起しやすい点は日常臨床の事実である.そこで今回,外科的侵襲を最小におさえ,簡便な方法にて角化歯肉をつくった症例を提示し,考察を加えてみたい.
症例
1. 左下6に自家歯牙移植をした後,移植前には可動粘膜であった部位に角化歯肉ができた症例. 2. 右下6歯肉縁下カリエスにより粘膜が覆っていた状態の歯牙をクラウンにて補綴.その際,コア歯肉縁下にレスカントゥアを与え角化歯肉を育成した症例.
考察
下顎臼歯部において意図的に角化歯肉を作るためには,以下の条件が考えられる. 1. 両隣在歯の存在とその歯頚部付近の高さまでの歯肉の存在. 2. 厚みのある歯肉であること. 3. 適度なブラッシングによる刺激. 4. 移植歯の場合は,移植歯に適した移植床の幅径が必要. しかし,上記の条件がそろったとしても上顎臼歯部には角化歯肉は育成しにくい.その理由として,歯頚部付近における可動粘膜の運動刺激の違いが原因と考えられる.

