歯科審美における機能回復の重要性
第17回日本歯科審美学会学術大会
来院した患者さんの満足や感動、それは我々歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士を含めたスタッフにとっても最大の満足である。主訴の改善はもちろんのこと治療計画の立案にあたり、機能的な面だけでなく審美性にもかなり重要視しなくてはならない。「美」が咬合の回復や治療後の永続性と同等、むしろそれ以上に評価される時代なのである。特に審美ゾーンといわれる上顎前歯部においては、造られた人工美というよりも天然歯と遜色のない補綴物を製作できるかが、我々臨床医に課せられた使命であり目標となっている。
しかし審美修復も健康な歯周組織や、正常な歯の位置などのよい条件がそろって初めて機能回復に役立ち、長持ちする。
今回のセミナーの中では、生体に調和した補綴物を製作することで、結果的に患者さんの審美的な満足を得ることができた症例を供覧していただき、少しでも臨床のヒントとなれば幸いです。
審美とは特殊なものか?
美
客観的な美と主観的な美自然美と人工美
形態美・色彩美・機能美
精神美・健康美
歯科医療
美容:患者の心理
審美:医療の妥当性、合理性
美しい歯とは、形態と色調が整うだけではなく機能の充実により、はじめて実現できるものである。それを得るためには、美的修復と機能的回復が伴う必要がある。 ⇒患者さんからの真の信頼感を得る。
症例概要および治療方針
・30歳、女性。前歯部の審美障害の改善が主訴
・口腔内所見:左上1が唇側に突出し、歯列外に位置
隣接面カリエスに罹患
歯周病的問題なし(ポケット3ミリ以下、BOP−)
・問題点:治療期間に制限
〔治療方針〕
・治療期間が5ヶ月以内であるため、全顎矯正治療は断念。
・左上1の補綴スペースを確保するための部分矯正を行い、その後抜歯
・ブリッジにて補綴し問題の解決をはかった。
30日間の動的期間をへて左上1は抜歯(下写真左)
抜歯後9週間後、最終印象時(下写真中)
ホワイトワックス試適時:形態修正を行う(下写真右)



症例 Ⅱ
患者:70歳.女性
初診:2003.1.28
主訴:12が痛く,ブラッシング時に出血する
数年前に義歯を製作したがうまくかめない
口腔内所見:
・軽〜中等度の歯周病に罹患
・臼歯部の咬合支持の喪失
・義歯を使用していたにもかかわらず,上下顎ともに前歯の前方傾斜が起こっている
全顎補綴におけるプロビジョナルレストレーションのチェック項目
1.水平的下顎位が適正か否か
2.垂直的顎間距離の評価
咀嚼運動の終末位であり、長期にわたる咬合安定に不可欠
3.アンテリア・ガイダンスの確立
偏心運動時に、臼歯部を離開させ側方力を回避する
4.神経筋機構との調和 パラファンクションへの対応
私の考える歯科審美

白い歯、美しい歯といってもそれを作り上げるには保存、補綴、矯正、外科その他すべての分野からのアプローチが必要である。
単にコスメティック的な要求にのみこたえるものではなく、機能をも重視した包括的な医療であり、それに向かった治療を行うことが重要である。
審美は機能の上に成り立っているものである。









































